
体重に占める体脂肪の割合が異常に増加してしまう『病的肥満症』は世界中で急激に増加しています。いったん高度肥満になってしまうと食事療法や運動療法そして薬物療法などが効果的でないことが報告されています。また、多くの人が経験しているようにカロリー制限や運動によりいったん体重を落としても気がつけばダイエットを開始した時よりもさらに重い体重までリバウンドしてしまうこともまれではありません。肥満症は整容性の低下だけではなく、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群、肝機能障害、鬱(うつ)、性機能障害、そして悪性腫瘍(がん)などの多くの健康障害原因になることも知られています。肥満症には他の疾患と同じように予防が最も大切ですが、ストレスとカロリー過多の現代社会では知らず知らずのうちに誰でも発症してしまう可能性があります。軽度の肥満症であれば食事・運動・生活習慣を変えることで比較的容易にダイエットできますが高度肥満になるとそれらの治療は多くの場合無効です。私たちは他の方法で減量が失敗に終わった病的肥満症の患者さんに対して最後の手段(Last resort)である『外科治療』を2004年から行ってきました。日本でこの治療を行える施設や外科医はごく少数であり、正確な情報を得る書籍やサイトもほとんどありません。このサイトは高度肥満に対する外科治療に関する科学的根拠に基づいた正確な情報を第一線の現場で外科治療にあたってきた外科医により発信することをミッションとしています。高度肥満に悩む方々の一助となれば幸いです。

安全で確実な外科治療効果を出すチームの技術 Surgical skills
当院では腹腔鏡下肥満手術、腹腔鏡下胃手術に精通した固定したスタッフで手術を行います。チーフは日本内視鏡外科学会技術認定医、日本消化器外科学会専門医、日本外科学会指導医、日本肥満症治療学会評議員、国際肥満外科学会会員、アジアパシフィック肥満外科学会会員、欧州内視鏡外科学会会員、米国消化器内視鏡外科学会会員で、これまで多くの腹腔鏡手術、肥満外科手術を行い、そして学会活動や技術指導も行ってきました。

結果を出すための妥協のない内視鏡手術器材 Exellent Surgical Equipments and Diveces

結果を出すための多職種チーム医療 Multidisciplinary approuch
病的肥満治療は手術だけで解決できるものではありません。安全な麻酔・手術を行うようにすること、そして確実に体重を落としそれを長期にわたって維持していくことは外科・麻酔科チームだけでは不十分です。当施設では管理栄養士、手術室看護師、ICU看護師、理学療法士、メディカルフィットネス、ソーシャルワーカー、精神科医、内科医、麻酔医といった肥満外科治療で良好な結果を出すためそれぞれの職種が関わるのチーム医療を標準としています。

治療結果を常に学会で公表するとともに国際学会、研究会に参加しさらなる技術向上に努めます
肥満外科治療は世界的には60年余りの歴史がありますが、我が国ではこれまでほとんど行われて来なかった新しい治療です。安全で良好な効果を出すにはどのようにすればいいのかのノウハウを日本でも確率していく必要があります。そのためにはこれまでも、そしてこれからも国内・海外の学会やセミナーに積極的に参加し、自施設の成績や得られた知見を公表すると共に国内、国外の肥満減量外科医との交流をもってさらに洗練された治療をめざしていきます。


BMI(Body Mass Index)とは?
肥満症を扱う上で最も基礎となる数字です。BMI(びーえむあい)は体格指数とも言われ、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)ですので身長と体重さえ分かれば簡単な計算で求めることができます。ただし身長がcmではなくmであることに注意が必要です。例えば150cm 90kg であればBMI=90÷1.5÷1.5=40ですのでBMIは40となります。
肥満症の定義
体脂肪が過剰に蓄積した状態でBMI 25 以上のもの。欧米ではBMI30以上を肥満としていますが、日本を腹部アジア人は遺伝的素因によりBMI25という低い肥満度でも健康障害を伴うことが知られています。
肥満症の判定
下の表のように日本では1度から4度の肥満、WHOの基準ではClass IからClass IIIに分類されます。class III 以上では重大な健康障害を伴うことがあり、外科治療の対象となるのは日本を含む東アジアではBMI32以上、欧米その他の世界の基準ではBMI35(Class III)以上とされています。
BMI | 日本の基準 | WHO基準 |
<18.5 | 低体重 | Under wetight |
18.5~24 | 普通体重 | Normal range |
25~29 | 肥満1度 | Ober weight |
30~34 | 肥満2度 | Obese class I |
35~39 | 肥満3度 | Obese class II |
40 | 肥満4度 | Obese class III |
病的肥満症に対する手術適応(どのような条件のとき手術が受けられるか)
肥満症に対して手術治療が受けられる条件は下記の通りです。
1.BMI 35以上の一次性肥満患者で肥満に関連する合併疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)を有するものが基本。BMI32〜35でも条件が満たせば手術適応となることあり。
2.食事療法や運動療法、薬物療法等手術以外のいわゆる内科的治療を施行したにもかかわらず十分な効果がなかったこと
3.患者さん本人が減量する目的を明確に持っていること。
4.ご本人に加えご家族が外科治療の効果・リスク・長期フォローの必要性にについて十分理解し外科治療に賛成していること。
5.術後は少なくとも5年間は通院治療が継続できると約束できること。
6.年齢は原則18歳〜65歳とされています。
病的肥満症でも手術ができないと判断される場合
1.全身麻酔や手術に耐えることができないほど全身状態が不良か肥満減量手術で予後が改善されないと判断される場合(心不全、呼吸不全、肝不全、腎不全、免疫抑制状態など)。
2.ご家族が外科治療に反対しているか、術後に協力が得られない場合。
3.アルコール中毒、薬物中毒、禁煙ができない場合
4.コントロール不良な精神疾患を有する場合

Q:保険は効きますか?自費ですか? | 平成26年4月から腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険適応で治療可能となっております。保険が適応となるのは半年以上の内科治療が無効、BMI35以上で糖尿病、高血圧症、脂質異常状などを合併する場合と規定されており、美容等が目的の場合は適応となりません。また、個室料金等の一部は自己負担が発生します。なお、スリーブ状胃切除術以外の手術(スリーブバイパス、胃バイパスなど)は自費診療です。 |
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Q: すぐに手術受けたいのですが? | 病的肥満症は手術だけで治療が成功するものではありません。手術は確かに高度肥満症治療の外科治療の重要なステップですが治療プログラムの一部でしかありません。安全に麻酔や手術ができる状況なのか、手術がベストの選択肢なのか、どのようなリスクがあるのかなどを十分検討した後、手術が行われます。通常、初診から手術までは最短でも3ヶ月ほどかかります。 |
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病的肥満症に対して行われる手術の種類はいくつかありますのでそれらを詳しく紹介します。
平成27年度の肥満減量外科治療実績
肥満減量手術の初年度の手術成績



以上、術後1年を経過した症例はないが、半年までの経過は良好な体重減少、良好な合併疾患改善を認めている。
サイト管理者の
プロフィール
稲嶺 進(いなみねすすむ)
大浜第一病院 外科部長
学歴・職歴
平成3年琉球大学医学部卒
平成3年琉球大学医学部附属病院第2外科入局
琉球大学附属病院、関連施設の中部徳州会病院・沖縄赤十字病院・南部徳州会病院・泉崎病院・豊見城中央病院・沖縄メディカル病院・中頭病院で研鑽を積む。
平成26年から現職、医療法人おもと会・大浜第一病院
学会・資格
日本外科学会 専門医・指導医
日本内視鏡外科学会 技術認定医(腹腔鏡下胃切除・胆嚢摘出術)、評議員、結紮縫合セミナーインストラクター
日本消化器外科学会 専門医・消化器がん治療認定医
日本肥満症治療学会 評議員 ガイドライン作成委員
国際肥満外科学会(IFSO)会員
アジアパシフィック肥満外科学会(APBMSS)会員
アメリカ消化器内視鏡外科学会(SAGES)会員
欧州内視鏡外科学会(EAES)国際会員
がん治療認定機構 がん治療認定医
賞罰
第25回日本内視鏡外科学会 学会賞(カールストルツ賞)
外科医になって25年になりました。そのうちの15年は内視鏡手術、特に腹部の内視鏡手術に全力で取り組んでまいりました。腹部の内視鏡手術(腹腔鏡手術)は胆嚢、虫垂、ヘルニア、脾臓、副腎、膵、大腸なども行いますが、胃がんの腹腔鏡手術と病的肥満に対する腹腔鏡手術には特に力を入れてきました。近年急激に増加している高度肥満とそれに伴う糖尿病をはじめとする代謝疾患に対する外科治療の発展と後進の指導に残りの外科人生を捧げたいと思っております。

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